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背景 ピアノのクリーニングのしかた
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ピアノの汚れについて


ピアノの水拭き、ぞうきんがけはタブーなのか?業者にカビだらけでクリーニングを10万円で勧められた。カビているピアノは家を傷めて健康に悪いのか?そのあたりをご説明させていただきます。


ピアノがカビている場合、その家もカビています。

失礼なことを書きますが、古いお家はカビも生えています。それでも人は生活して不自由はありません。無菌状態の家は新築だけでしょう。
しかもそれは数年のことだと思います。ですから、ピアノがカビていても大げさに考えないでください。


新築にピアノを移動する場合

業者にクリーニングを委託するのも方法ですが、
調律師に内部清掃をお願いするのも方法です。

業者のクリーニングは5万円までが高くない相場だと思います。
(再塗装、部分修理などは別です)
内部掃除は調律師にお聞き下さい。(当事務所はサービスです)

掃除後、カビのニオイがする場合も3〜6ヶ月ほどで、
ほとんどのケースは匂いはなくなります。



 ピアノの水拭きはタブーなのか?


ピアノは水拭きはタブーなのか?それは塗料により異なります。
ピアノの塗料は ラッカー、ウレタン、ポリ(通称)、カシュー などがあります。

現代のピアノはほとんどがポリ(通称)です。
車の塗装より固く厚いと言えば丈夫とわかっていただけると思います。

問題は30年以上前のピアノです。
ヤマハ、カワイはラッカーを一部、またはすべてに使用しています。
ラッカーとはいわゆるラッカーシンナーを使い希釈する普通の塗料です。
水拭きをしても問題はありません。

ヤマハ、カワイ以外のメーカーの注意が必要です。
東洋ピアノ(アポロ)その他はカシューを使っている場合があります。
カシューとは西洋うるしです、うるしは水を嫌います。

しかし、カビだらけの埃まるけのピアノを掃除する場合は水拭きも仕方ありません。ただし、脱水機にかけたほどぞうきんを絞り、大掃除の時だけと決めてください。

もう一度お答えいたします。水拭きは塗料によって神経を使う物であり、
ぞうきんでピアノをふいて湿気でピアノをいためることはありません。

乾いたピアノと湿気を帯びたピアノは重量が何キロも違います。それは水分を長年蓄積した結果で、木の表面に水分を少し含ませた程度ではすぐに蒸発してしまいます。

テーブルを水拭きしてテーブルが腐ったという話は聞きません。
ピアノの側板とテーブルに何の違いがありますか?



実践!ピアノをクリーニングする!

自分でクリーニングをやってみるただし、自己責任でお願いいたします。
上記説明のカシュー塗料は大きな効果が上がりませんのでご注意、また、カシューはコンパウンド、ワックスともムラになり注意がいります。心配の場合はご連絡ください。

カシュー(西洋うるし)確認の方法
塗面が艶消し状態、白化していないか、水拭きしてこげ茶色の汚れが激しくつかないか、 よく見ると水分を塗料が吸っていないか。
一般的に油汚れは黒色もしくはこげ茶(油臭い)たばこのヤニは黄色(たばこ臭い)車の排気ガスは黒色土埃は茶色です。



用意するもの
古新聞、マスキングテープ、コンパウンド、ワックス
ワックスは仏壇クリーム、コンパウンドは仏壇金属磨きでも可
紙やすり ♯400、♯600


初級!塗装面の艶の出し方

ホコリで塗面をを傷つけないように、
まずは水拭きで表面のホコリをきれいに取ります。

次に靴磨きの要領でコンパウンドを布に付けて磨きます。
原液を塗面に直接落とさない(むらになります)

拭き上げが大変なので、コンパウンドの次のワックスがけをコンパウンド拭き上げをせず、そのまま行ってしまうのが楽ですが、きれいになったか確認はむつかしくなります。



ぞうきん写真


ぞうきんで磨く写真


最初は目立たないところで塗装の反応を見ます。
塗装が痛みそうな場合は業者にご連絡ください

ピアノの足を磨く写真


角は水拭き、コンパウンドとも丁寧に奥まで潜り込ませて磨いてください
ピアノの角を磨く写真

拭き上げは他の布で乾拭きします。

ワックスも塗る布、拭き上げ用の布を使い分けて仕上げてください。
コンパウンド同様靴磨きの要領です。



中級! 金属面の磨き方

蝶番(ヒンジ)などをご自分で取れる場合は実践してください。
ただし、真鍮ネジは折れやすいので自信のない場合は止めてください。
また,本体についたままで金属磨きで磨いてもかまいません。


金属磨きでひたすら磨きます。

ヒンジを磨く写真

ここまできれいになります。
磨いたヒンジの写真



鍵の真鍮部分はマスキングテープで塗装面を覆い、
紙やすりで♯400>♯600と番手を上げて
最後に金属磨きで仕上げてください

絶対に紙やすりを塗装面にあてて傷をつけないでください
マスキングの写真


ペダルも大雑把でいいので塗装面、ペダルの窓のフェルトにコンパウンドがかからないようにマスキングしてください。
ペダルの写真



上級、パネル裏側、ピアノ内部を掃除する


写真を見てやる気になれたらやってみてください。
内部メカニック、弦には絶対触らないでください。

パネルを外す際はピアノ本体との接触、傷の注意が必要です。


先ずは簡単な下パネルから。
中心の取っ手の上に板バネでパネルを固定しています。
板バネを上に押し上げてパネルを手前に引きます。

パネルストッパーの写真

パネルノブの写真



パネルは穴とダボによって下部を固定しています。
パネルダボの写真

パネルダボの写真

ピアノの内部を掃除機をかけるもよし、水拭きをするのもよし、
ただし、アルコールスプレー、マジックリンなどでスプレーは厳禁です。


上パネルはメカニックが入っているのでおススメは致しません。丈夫パネルの内部のロックの機構です。下パネルの応用です。パネル周辺のみのしておいた方がいいと思います。分からない場合は止めておいてください。

パネルロックの写真


以上ご参考になれば幸いです


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谷口ピアノ調律事務所
谷口順繁
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